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アラザル5

型番 arazaru05
販売価格 500円(内税)

Contents
●阪根正行:五月の15日間 きみとぼくとビンラディン
●高内祐志:『地底人伝説』紹介文
●杉森大輔:喪中のワルプルギス
●西田博至:一柳慧のいる透視図 ――ニッポンの批評へ (連載第4回)
●山本浩生:プラナリアのさかいめ
●山下望:『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』と『その街のこども』
●安東三:ラッパー宣言 第二回


Previews
●阪根正行:五月の15日間 きみとぼくとビンラディン
(…)「もしかしてウチらがラブホですごいペースでやりまくってるあいだに戦争がはじまって、しかも終わっちゃったの? みたいなね。ラブ&ピースじゃなくてセックス&ウォー? みたいなね。なんか俺言ってることよく分かんないね。でも、もしそういうことを思えたらさ、なんというか、歴史とリンクしてるじゃんウチら、みたいなさ。死ぬ前に思い出す可能性の相当高い思い出になるんじゃないの? みたいに思ったんだよね。そう思わない?」(岡田利規『三月の5日間』より)(…)

●高内祐志:『地底人伝説』紹介文
(…)『中学生日記』で二〇〇三年五月十日から四週連続で放送された「地底人伝説」シリーズは、一話目三話目を鈴木卓爾、二話目四話目を唯野未歩子が脚本を担当し、演出は全話を淋代壮樹が担当した。
 現在この作品を見ることは非常に困難な状況にあり、このまま忘れ去られてしまうことはあまりにも寂しいと感じたことが、この紹介文をしたためた動機である。(…)


●杉森大輔:喪中のワルプルギス

(…)それは得体の知れない幽霊たちが一斉に広がり、不安の振幅を共振によって増幅させながら伝播していく、不可視の津波であるだろう。そしてそれはメディアにのって広まった幽霊たちの夜の祭りである。(…)

●西田博至:一柳慧のいる透視図 ――ニッポンの批評へ (連載第4回)
(…)中学生の寺山修司が、本州の果てまで巡業へやってきた江利チエミ――江利は寺山よりふたつ年下である――が唄う、アメリカのジャズのカヴァーである《家へおいでよ!》を聴いていたとき、寺山の母は彼を親戚へ預けて、遠く九州のアメリカ軍のベースキャンプへ出稼ぎに行っていた。警官だった寺山の父は修司が五歳のとき、召集されて出征し、大東亜戦争が終結したあとの昭和二〇年九月三日、インドネシアのセレベス島で故郷の土を踏むことなく病没していて、このときは既にない。のちに寺山の詠んだ歌、「すでに亡き父への葉書一枚もち冬田を超えて来し郵便夫」。
  ジャズの国に敗れて占領された日本の混乱を、まさに、「わたしのおうち」と「音楽」の間で、サヴァイヴしていた子供たちは、江利チエミや寺山修司だけではない。東京の「焼け跡」のただなかにいた、一柳慧や江藤淳も同じだった。(…)


●山本浩生:プラナリアのさかいめ

(…)ソメイヨシノが咲きはじめるころ、同時に辛夷や木蓮も咲き、ずっとモノトーンだった樹々の繊細な線の集合体が、ほんのりあかみがかってくる。よく目を凝らしてみ るともう薄く、レモンイエローに少しだけ緑を混ぜた、まだ黄緑とも云えぬ淡いもやっとした色合いも出てきている。冬なのに、春なのであって、死んでいるようにみ えるのにやはり確実に生きていたのだ、と云うことが、非常に微かな色合いを持って、併し勁く靱やかに、そして確実に見えてくるのがこの季節である。
まだ寒さから守るために家の中に入れてある熱帯植物たちも・・・・・・・(…)


●山下望:『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』と『その街のこども』
(…)これからレビューしようとするのは、過去に共通の傷を持った男と女、あるいは少年少女が出会うことによって、その現在の二人のあいだでそれぞれに見える「過去と未来」に何が起きるのか、を対照的な方法で描いた映画、ということになる。(…)

●安東三:ラッパー宣言 第二回
(…)なぜ自分の中にこのような記憶があるのかわからない。そんなに長い間外部と接触を断っていた時期がある筈がないのだが、中学生か高校生の頃、あるいは大学に入る直前の頃、僕にはなぜだか来る日も来る日もテレビだけを見続けていた記憶がある。チャンネルを変えてもつまらなくて、しかしそれでもテレビを消して他のことをする気にもならず、消してはみたものの次の瞬間にはまた点けているといった具合に、延々と通販番組や料理番組まで眺めていた。外は常に曇天で、暑いのか寒いのかわからない。自室にテレビなどないから居間との間を行き来していたはずなのだが、しかし朝起きて居間のある一階まで降りる、テレビを消して二階の自室にあがるといった記憶はなく、一日の始まりから終わりまで、あるいは終わりや始まりといった感覚すら薄れていくなかで、かろうじてテレビの番組だけが朝か夕かを知らせている。(…)


体裁
四六判
154ページ